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ドラマ記 ネタバレしかない

あなたにはあなたの (愛だと言って 見た)

 

「愛だと言って」は、復讐から始まるラブロマンス。静かできれいで丁寧でとてもよかった…。毎週水曜日に2話ずつ更新されるのを、夜にじっと見た。

 

かつて愛人と家を出て行った父親が、不在ながらもずっと家族に影を落としていて、3人姉弟のまんなか・次女のウジュは家族を守り抜こうと懸命に生活をしている。

 

父親とその愛人への復讐を誓い、家族のためにコツコツと自分を殺して生きてきたウジュの、目と言葉の鋭利なこと、、

ドンジンに出会ってからのウジュの心の移り変わりが美しくて、ほんとにみんな見てほしい。イソンギョンがいい役者さんすぎる。

 

初めてドンジンに会ったウジュは拍子抜けする。復讐のし甲斐なさそうというか、すでに不幸と孤独を背負っていて、本当にこの人はあの人(愛人ヒジャ)の息子なのか?と。

 

ウジュはドンジンのことを少しずつ知るたびに惹かれてしまうんだけど、復讐心が愛情に似たものに変わりつつあることに先に気付くのはジュンなんだよな…… 切ない(このとき私はまだジュンがウジュのことずっと好きなんじゃないかと思ってた)

 

あの時ジュンが「本当にきづいてないのか?」って聞かなければ、ウジュの気持ちが溢れちゃうことも、そのあとドンジンに会いに行くこともなかった気がする。気持ちって言葉にすると余計に確固たるものになってしまうものだし..

 

「私はただ、試験をやめて家出したジグより、私に干渉するアンタより、いくつも年下の男と付き合ってるヘソンより、病気のお母さんより、あの人の方がちょっと心配なだけよ」

ここ本当によかったな〜

 

ほかの誰よりもちょっと心配なだけ。それが愛だったんだよなウジュの…

 

「私のことを絶対に好きにならないで。あなたさえそうしてくれれば問題ないから」

これもすごい。

 

ふつうあの目であんな風に剥き出しの言葉を突きつけられたらたまったもんじゃないと思う。それを受け入れた(耐えたというか)ドンジン……泣

我慢や"知らないフリ"が原因で大事な人を失ったこともあったけど、あれが唯一彼の持ってる戦い方だったんだな。自分でも許せていない部分であるからこそ、それをウジュに指摘されたとき感情的になったんだとおもう。

 

ウジュはウジュで愛想も笑顔も優しさも安売りせず弱みをみせないようにすることが彼女なりのやっていき方だったからお互いが違いすぎてやきもきするけど、ウジュの言葉やドンジンの態度がお互いを静かに励ますようになり、そばに居たいと思うようになる。

 

やっぱりウジュが「本当はだめ」とわかっているからこその距離感が、悲しくも美しくて…

 

設定だけ見るとドロドロで暗くてじっとりしていて本当にしんどいけど、それを感じさせないというか必要以上に見せず(韓ドラにしては珍しく煽るような演出もほとんどなく)、その現実を生きている登場人物たちの静かな必死さ・切実さが描かれていた。

 

後悔・憎しみ・悲しみ・不安と、どうしようもなさが全員にあって、全員がそれをどうにかしていこうとする(関係性の変化によってどうにかなっていく)ところが最終回にかけて見られてよかった。ヘソンがやっと"長女"になっていくところも、ヒジャが初めてドンジンの言葉に耳を傾けて自分を省みたことも、ドンジンが毎日を楽しく生きていいんだと思えたのも、、

 

お母さんは「なぜあの子にウジュ(宇宙)なんて名前をつけてしまったんだろう。ヘソン(彗星)もジグ(地球)も、ウジュがいないと存在できないじゃない」と言ってたけど、ふたりとも自分の小さな世界を自分のやり方で守っていたよ。ウジュも、ドンジンとのことを家族で乗り越えたことでちゃんとそれに気づいたとおもう

 

 

最後のシーンも本当にきれい!ライブのオーディエンスが消えて、やっと世界に二人になれた。ドンジンがジグに贈ったギターが微かな望みとなってふたりをとおくで結びつけてくれていて、ちゃんと引き合わせてくれたんだな

 

こんなにも繊細に言葉を紡ぐふたりを、ドラマでなかなか見ることがないなと感動した…。小さな変化を大きく描いたすてきなドラマだった!本当におすすめ

 

あのコンビニの外にある机といす、日本でもやってほしいな