場所と食べ物のパワー(パンとスープとネコ日和 見た)
場面は小林聡美さん扮するアキコの母親が急死するところからはじまる。それまで敏腕編集者として働いていたアキコが仕事を辞めて、母親が営んでいた定食屋(よるは居酒屋?)を改装して自分のサンドウィッチ屋さんをはじめていくお話。
小林聡美とサンドウィッチ、本当に相性がいいな〜。そしてとてもおいしそう。
もともとアキコの母親がやっていた居酒屋、そして新しくアキコがはじめたサンドウィッチ屋がある街にただようあったかいような、お節介なんだけど不思議と嫌じゃないような雰囲気が、登場人物とお話から伝わってくる。
というかアキコがほんとうに無垢で真っ直ぐにしているから、まわりの人が色々話したり首を突っ込んだりしてしまいたくなるかんじがあったのかな。
とにかく今の私には登場人物がみ〜〜んな羨ましく見えてしまって。
まず山田さんとスダさんは、おじさんになってからも近所に仲のいい友達がいるなんて羨ましい。ふたりともタイプはちがうのによく一緒にいて美味しいものを食べてる。
もともとはアキコ母のお店の常連さんで、アキコ母が亡くなってからもなにかとアキコのことを気にかけてくれている。
わたしははじめ、あーめんどくさい感じのおじさんなのかなと思ったんだけどアキコは全然そう思ってる風ではなくきちんとありがたいと感じていて、それがすごいなと思った。おじさん二人組も、アキコも。
同じ場所にずっと居続けてくるってこういうことなのかしら。
サンドウィッチ屋のすぐご近所にある喫茶店ハッピーのママはすごくかっこよくって羨ましい。
「閉まってるお店があるとこの辺りの雰囲気が良くないのよ」とか、「商売はそんなに簡単じゃないのよ」とか必要以上に口を出してくるんだけど、それはアキコのことを気にかけているからで。
でもこういう人が愛されながらそこでお店を続けられるのは、もちろんその人の人柄もあるけど「口は悪いけどいい人なの!」と言ってくれるバイトのユキちゃんみたいな人がそばにいるからというのもあるんだろうな。
ユキちゃんがバイトを辞めて自分のやりたいことを探しに行ってしまったときも、ママはサラッとしていて、私は一人でもやれるのよと……かっこよかったしユキちゃんのことを信頼してたのがよくわかって泣けた。戻ってきてよかったなー。
アキコのお店のはじめての従業員のしまちゃんは、あんなすてきなお店の求人に巡り会えて羨ましい。
アキコがバイト募集しても「なかなか合いそうな人がみつかならくて〜」と言ってるところに面接に来て即採用になった素直な女の子。
背が高いんだけど存在感がありすぎず、お店にすぐに馴染んでしまった。30歳手前の大人なのに、高校生にも見える。
なんだかこの場所が好きなんですよね〜と言っていて、理由はわからなくても居続けるその自由さが素敵だと思った。
あとしまちゃんの植物に関するエピソードはよしもとばなな感があって好きでした。
アキコはとにかく、行動力や実現力が羨ましい。お母さんを亡くしてすぐなのにきちんと次どうするか考えて、そして決断できて、自分のものにしてカッコよかった。
でもあまりアキコががんばっている姿は描写されなくて、あくまでも自然にできることをできる範囲内でやっていて無理はしない。
かもめ食堂もそうだったけど、無理はしないし「違うこと をしない」というのはこのお話にも通づるところだったなー。
このお話は場所のお話だったかなと思ったけど、たしかにアキコとアキコ母親子のお話でもありました。
スダさんとごはん食べに行ってた場面でアキコ母の話をふたりともしていて、いつも飄々としてるようなアキコが、昔の自分をすこし他人事みたいに思い返して当時の気持ちを言葉にしているところ、とてもよかった……
羨ましいって言うのはあんまり良くない感じがするけどほんとに羨ましかったので全部言ってみました。
とにかくこのドラマにはおいしそうなものがたくさん出てきた!
アキコのサンドウィッチはもちろん、ママの淹れるコーヒー、ナポリタンとオムライス、スダさんと食べた天ぷら、みんなで食べたお肉
人間がどんなに頑張ってもどうしようもないときでも、おいしいものが救いになる時ってあるよねえ。
だからわたしは今は自分のためにおいしいものを食べないと!と思った時にきちんと何を食べたら良いかわかる人でありたい。
大事な人たちが元気がないときにも、おいしいものを食べさせてあげたいな